〜〜 ニューヨークの冬景色 〜〜
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気が付くと、わたし達は朝の白い光の中、生まれたままの姿で向き合っていた。目のやり場に困り、ぎゅっと閉じていると、「沙夜、俺を見て」と囁くように促される。おずおずと目を開くと、優しい眼がわたしをじっと見下ろしていた。
大きな掌で、わたしの乳房をすくうように持ちあげる。感じる先端を指先でつまんで弄びながら、リアクションに困っているわたしの思いを見透かしたように言う。
「悪いけど……、寝室もベッドも一つきりなんだ。最初に言っとくけど、俺、これからずっと沙夜と一緒に使うつもりだから。あんたもあきらめて、早く俺の存在に慣れてくれるしかないと思うな」
ここまで来ておいて、何やってんだよ……?
やんわりと諭すような口調だった。まったく、これじゃどっちが年上だか。わたしの中にしつこく居座っている羞恥心をぬぐい去ろうとするように、互いの目に全てをさらして、ゆっくりと愛撫が始まった。
最初はためらって鈍かったわたしの動きも、彼に促されて次第に大胆になってくる。彼のポイントを見つけて攻めてやるのが楽しくなってくると、余裕だったはずの彼の息も上がってきた。
だんだんと、もっと夢中になって、わたしは彼の手をするっと逃れ、わたしの方から彼にのしかかっていった。驚いた顔をしたきり、無抵抗になった翔平が、黙ってわたしを見上げている。彼を押さえ込むようにして、とうに猛り立っていた彼自身に触れてみると、はっとしたように体を強張らせた。
両方の手のひらでそっと包み込み、それからおずおずと唇を寄せ、キスしてみる。指先でゆっくり愛撫するうち、彼の身体が激しく強張ってくるのがわかった。
「あっつ、沙夜……、はっ、も、もう、やめろって……」
彼が呼吸を乱して狼狽しているのを見るのは、すごくいい気持だった。こんなこと、過去に経験したことは一度もないけれど、もう怖くなんかない。
彼を苛めるのが楽しくなって、くすくす笑った途端、手が伸びてきて、ベッドに仰向けにひっくり返されてしまった。
「俺の体で、さんざんお楽しみくださったようですから、ここらで交代と行きますかね、沙夜サン?」
悪魔のような微笑を浮かべた翔平が、そのままわたしに覆いかぶさってくると、誘惑を返すように口付ける。次第に、息が切れるほどキスを深めながら、胸元をエロティックにまさぐっていた彼の手が、わたしの脚の付け根の敏感な部分まで降りて行き、ゆっくりと蠢き始めた。
びくっとして軽くのけ反るわたしを押さえて、身体から力抜けよ、と囁きながら、なおも執拗にこねまわす。たちまち昂ぶっていくわたしの反応を確実に読み取りながら、指の動きを緩めたり早めたり。
ああ、やっぱりすごい。全神経が彼の指の動きに集約している。セックスって素敵だと彼といると心から思える。
歓びの波が襲ってきて、こらえきれずに「翔くん!」と叫んだわたしに、「まだだぞ」と答えるや、脚の間に脚が割り込んできて、一層大きく押し広げられた。
まだ、と言われても、もうこれ以上無理!
抗議しようとした矢先、押さえつけられ、指先で核を探り出され、びくっと腰が跳ねた。
「これはさっきのお返し、な」
楽しそうに言うなり、わたしのその部分に顔をうずめて、炎のような舌先が触れてきた。再びびくんと激しく跳ねた腰を押さえつけると、わたし自身を思う存分探り、味わっていく。
たちまち形勢は大逆転。呼吸が上がり、喘ぎが呻くようなすすり泣きに変わってしまう。
「あんっ、あっ、翔、翔……君、もう、もう駄目ぇ、やめて、お願いだから……」
腰が自然に浮きあがり、泣き叫ぶように声を上げて髪を引っ張っても、彼の唇と舌は、なおも責め苦のような愛撫を続けている。否応なくのぼりつめ、激しく痙攣し達した時、やっと彼は顔を上げた。
なぜか、少し苦しそうに歯を食いしばって、そのままわたしの中に一息に突き込んで来る。
互いに、もう離さないと言うように、きつくきつく抱きしめ合うと、彼は思いのままに動き出した。わたしの名を幾度も呼ぶ声に応え、わたしも彼を呼び返す。その荒々しい動きについて行くために、彼の肩に夢中ですがりついているしかできなかった。
そのまま、二人一緒に上り詰めた頃には、遅い冬の朝日がさんさんと上っていた……。
クライマックスの強烈な余韻から覚めた後も、力を使い果たしたようになっていて、しばらくぐったりしていた。先ほどの狂態を思い出すと、顔から火が出そうで、彼を直視できない。
だが、どこ吹く風と言うように起き上がった翔平は、わたしの頬やうなじに優しくキスして、「コーヒーでも淹れてこようか?」と聞いてくれる。まるで映画の中の恋人みたいだ。
甘い気持で「うん」と答えた時、壁にかかった時計が目に入った。現実を思い出して、突然がばっと身を起こす。
「ねぇ、もう9時過ぎてるじゃない! 今日って平日でしょ? 出勤しなくてもいいの?」
「ああ、大丈夫。今日は丸一日、休みとってあるから」
今のあんたを一人にして、仕事なんか行けるわけないだろ、とぶつぶつ呟いている彼の心遣いが嬉しかった。でも、それを素直に見せたくないような気もして……。
「シャワー先に使う? なんなら一緒でもいいけど?」
しれっと言う翔平に、ボスっと枕を投げつけた。それを脇へ置いて、あっそう、じゃお先にどうぞ、とクローゼットからバスローブを出してくれたので、それを身につけ、やっとバスルームに向かう。
下腹部にまだ、さっきの激しい熱とうずきとが生々しいほど残っている。熱いお湯で流しながら、何故か少し不安な気持になっていた。
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16/07/09 更新
なんだか、ラブラブモード全開になってますね〜。
本編で抑えてた分まで出てしまった感じです。
短めですが、切りが良いので本日はココまでで…。